麻酔のことをお話しします
安全で安心な手術のために。
私たち麻酔科医は、手術をする際に欠かせない麻酔を担当しています。
手術を受ける患者さんの痛みを和らげ、安全に手術を行うためには、なくてはならないものです。当院では、患者さんの不安を取り除き、安心して手術を受けていただけるよう、麻酔科医が手術前から積極的に患者さんに関わっています。今回は、私たち麻酔科医の仕事をご紹介しながら、麻酔について、手術における流れをお話しします。
私たち麻酔科医は、手術をする際に欠かせない麻酔を担当しています。
手術を受ける患者さんの痛みを和らげ、安全に手術を行うためには、なくてはならないものです。当院では、患者さんの不安を取り除き、安心して手術を受けていただけるよう、麻酔科医が手術前から積極的に患者さんに関わっています。今回は、私たち麻酔科医の仕事をご紹介しながら、麻酔について、手術における流れをお話しします。
解説医師紹介
麻酔科 主任科長
玉里 順子
医学博士、麻酔科指導医・専門医、麻酔科標榜医、救急医学会ICLSコースディレクター、AHA ACLSインストラクター
01. 麻酔方法の種類は？
麻酔には、全身麻酔と区域麻酔（部分麻酔）があり、それぞれ単独で行う場合と、両者を併用する場合があります。麻酔法は、担当の麻酔科医が患者さんごとに最も安全と考えられる方法を選択します。
02. 手術前日など：術前の診察があります
- 麻酔科医は、手術前の患者さんのコンディションを整える、麻酔法や鎮痛法を選択する時に必要な情報を得る、麻酔による合併症を防ぐなどの目的のために術前診察を行います。
- 当院では循環器系に合併症を持つ患者さんが特に多いため、最適で安全な麻酔とモニタリングができるように、必要な情報を手術に関わるスタッフ全員で共有して連携しています。
- 診察では、患者さんご自身やご家族が麻酔や手術を受けたことがあるか、その時に異状などはなかったか、持病や現在常用している薬、アレルギー体質など様々な質問をし、必要に応じて聴診や触診を行ったり、口の奥を診たり脊椎や関節の診察をすることもあります。
麻酔科医が病室にうかがいます
03. 手術当日：手術室に入り、 麻酔の準備をします
手術室です
お名前を確認し、 病棟看護師から、麻酔科医、手術室看護師に引き継ぎます
- 麻酔科医は、手術室に入室した患者さんの本人確認をし、心電図や血圧計などの麻酔に必要な装置（モニター）を患者さんにつけ、点滴をします。患者さんの状態を確認するため、手術中はもちろん、手術後もこのモニターをつけます。
- 麻酔の導入は、鼻と口に当てたマスクからゆっくり呼吸をして酸素を吸い、意識をなくすためのお薬を点滴に入れます。そして、酸素の通り道を確保するために、口からチューブを挿入します。
04. 手術中
手術中は、担当麻酔科医が患者さんの状態と手術の進行状況をみながら、麻酔の深さや人工呼吸の条件を適切に調節して、最適の麻酔状態を保ちます。
05. 麻酔からの目覚め
- 全身麻酔では、手術が終了すると同時に、麻酔薬の投与を中止します。
目が覚めるまでの時間は、手術の種類や患者さんの状態によって異なります。目が覚める兆候がみられたら、お声かけをして患者さんが目を開けたり、手を握るなどして、目が覚めているか確認をしていきます。
・名前を呼ぶと目が開くか
・手足に麻痺がないか
・痛みはとれているか
・出血はないか
・気持ち悪くないか
・監視装置の値は正常範囲か
などを確認します
・手足に麻痺がないか
・痛みはとれているか
・出血はないか
・気持ち悪くないか
・監視装置の値は正常範囲か
などを確認します
- また、口から喉に入れたチューブを抜いた後、しばらくの間は声が出しにくくなります。患者さんの血圧や脈拍、呼吸状態、血液の酸素化に異常がないかどうかを判断し、状態を確認してから病室に戻りますが、手術や患者さんの容態によっては集中治療室に行く場合もあります。
06. 病室に戻ってから
- 全身麻酔では、病室に戻ってからも十分に目覚めるまでしばらく時間がかかることがありますので、呼吸状態などのモニタリングは継続して行っていきます。
- 手術や麻酔の種類によっては、麻酔から覚めた直後から痛みを感じることがありますが、手術後の痛み止めの注射やお薬はあらかじめ準備されています。
手術によっては、痛みが強くなった時に、患者さん自身でボタンを押して使用できる鎮痛法を用いることもあります。痛みのために深呼吸や咳がしにくい場合があるので、痛みを和らげて、しっかりと深呼吸や咳ができるようにしていきます。
07. 専門のチームが支えます
周術期疼痛管理チーム
麻酔科医師、看護師、薬剤師などで構成された専門の医療チームが、手術を受けられる患者さんの痛みの緩和のために、手術の前から手術後までサポートしています。
チームでサポートしています
08. 麻酔に関連する合併症の可能性
麻酔による合併症は、術前診察の際、十分にお話をうかがい、検査や診察の結果をふまえて細心の注意を払って麻酔を行うことで予防できると考えています。
しかし、麻酔も医療行為である以上、100％安全な麻酔は存在しません。私たち麻酔科医は、常に100％安全な麻酔を目指し、日々研鑽し、努力しています。
しかし、麻酔も医療行為である以上、100％安全な麻酔は存在しません。私たち麻酔科医は、常に100％安全な麻酔を目指し、日々研鑽し、努力しています。
09. 循環器疾患手術での麻酔
「循環器疾患に強い」という特徴を持つ当院では、心臓手術・大動脈手術などの心臓血管外科症例や、狭心症や弁膜症など循環器疾患を合併した方の非心臓手術も大変多く、細心の注意を要する困難な麻酔管理を日夜行っています。
麻酔について不都合な点や
お気づきの点がありましたら、
何でもお尋ねください。
〈広報誌「体温計」第160号より〉