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胆石・胆嚢炎


胆石は肝臓から分泌される胆汁の成分が何らかの原因で結石となる病態です。結石のできる場所により胆嚢結石(一番多い)・総胆管結石(胆嚢結石の落下によるものが多い)・肝内結石(まれです)に分かれます。基本的に無症状の胆嚢結石は治療の必要はありません。痛みなどを生じる場合(胆石症)や、胆嚢炎や胆管炎などの疾病の原因となっている場合が治療の対象となります。

腹腔鏡下胆嚢摘出術

炎症を起こした胆嚢や結石を有する胆嚢を摘出することにより、症状を軽快させる手術で1980年代までは開腹で行われていましたが、1990年代より腹腔鏡を用いて手術されるようになり、今日では腹腔鏡下胆嚢摘出術が第1選択となっています。しかし、高度炎症例などの困難例では、安全のために開腹手術を選択することもあります。
当院でも胆嚢の手術として腹腔鏡下胆嚢摘出術を積極的に行っています。炎症の少ない胆嚢の手術の場合は手術翌日の退院が可能です。

総胆管結石のある症例では、胆嚢摘出術に加えて総胆管結石を摘出する必要があります。
総胆管結石が小さく個数の少ない場合は、腹腔鏡下胆嚢摘出術で胆嚢を摘出したあと(後日)に、内視鏡(胃カメラの一種)を用いて、十二指腸(総胆管の出口があるところ)から石を取り除く治療を行うことが可能です。

腹腔鏡下総胆管結石摘出術

一方、総胆管結石が内視鏡的に取り出しにくいと考えられる場合は、手術で胆嚢摘出の際に同時に取り出す必要があります。
手順としては
  • 総胆管を切開
  • 結石の摘出
  • 内視鏡で内部に結石が残っていないか確認
  • チューブを留置
  • 総胆管を縫合閉鎖
と胆嚢摘出術に比べると時間がかかります。そのため、今までは開腹で行われることがほとんどでしたが、機器の進歩と技術の向上によって、腹腔鏡下に手術が可能になりました。他の腹腔鏡下手術と同様に体に優しい治療なのが最大の利点です。一方、熟練が必要な手術であるので、当科でも適応を選んで腹腔鏡下総胆管結石摘出術を施行しております。