強度変調放射線治療(IMRT)/強度変調回転照射(VMAT)
強度変調放射線治療(IMRT)/強度変調回転照射(VMAT)を2022年6月から開始しました
強度変調放射線治療(IMRT)とは
強度変調放射線治療(IMRT)は、いろいろな方向から放射線を照射する時に放射線の強さを変える照射方法です。放射線の強さを変化させることで、腫瘍の形が複雑でも、腫瘍の近くに正常組織があっても、腫瘍に放射線を集中して当てることができます(図1)。これにより通常の放射線治療に比べて腫瘍への効果が高まり、副作用が減ることが期待されます。
※IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy
※IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy
《図1》通常の放射線治療(左)とIMRT(右)の違い
IMRT(右)では、腫瘍にしっかり放射線を当てつつ、正常組織の線量を下げることができています。
ただし、正常組織に全く放射線が当たらないわけではありません。
IMRTの応用形 強度変調回転照射(VMAT)とは
現在では、IMRTの応用形で回転照射に強度変調を組み合わせた、強度変調回転照射(VMAT)が主流になってきています。
当院では原則的にVMATを行っています(図2)。
※VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy
当院では原則的にVMATを行っています(図2)。
※VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy
《図2》前立腺がんに対する従来のIMRT(左)とVMAT(右)
IMRT(左)でも、直腸の線量を抑えつつ、前立腺には十分な線量を当てることができていますが(直腸に全く放射線が当たらないわけではありません)、VMATを用いることで同様の放射線量をより短時間に当てることができます。
前立腺がんに対するVMAT照射
装置の回転速度、照射線量、放射線遮蔽の動きを調整することで、周囲臓器への影響を最小限にする一方、腫瘍への精密な照射が可能となり、治療時間も短縮されます。
IMRT/VMATの対象疾患
保険適応は「限局性固形悪性腫瘍」となっており、多くのがんの根治的放射線治療を保険診療として行うことが可能です。
当院での主な適応は頭頸部がん(咽頭がん、喉頭がん、口腔がんなど)、前立腺がん、脳腫瘍ですが、肺がんや食道がんなどにも用いられます。
当院での主な適応は頭頸部がん(咽頭がん、喉頭がん、口腔がんなど)、前立腺がん、脳腫瘍ですが、肺がんや食道がんなどにも用いられます。
治療の準備
治療を受けていただく患者さんが特別に準備していただく必要はありません。
CT撮影から治療開始まで最低3-4営業日をかけて、治療計画を立て、完成した治療計画が正しく照射されるのかを確かめる検証作業を行います。
CT撮影から治療開始まで最低3-4営業日をかけて、治療計画を立て、完成した治療計画が正しく照射されるのかを確かめる検証作業を行います。
放射線をより正確に照射するための技術/画像誘導放射線治療(IGRT)
放射線治療とは、放射線を病気の細胞に照射することで体の表面や奥にある病気を治すための治療方法です。X線写真やCTなどの検査で使用するものよりも高いエネルギーの放射線を照射するため、より精密に病変(病気の細胞)に照射し、周囲の正常な細胞への照射をできるだけ減らすこと、毎回の治療で的確に同じ場所に照射できるよう、より正確な位置決めをすることがとても大切です。
当院では画像誘導放射線治療(IGRT)という技術を用いて、より精密、より正確な治療を行っています。
IGRTとは、毎回の放射線治療を行う際に画像(X線写真、CT)を取得し、腫瘍の位置誤差を補正して放射線照射を行う技術です。位置補正には縦横高さの3方向に加え、回転方向3方向の6軸補正を用いています。
※IGRT:Image-guided radiotherapy
当院では画像誘導放射線治療(IGRT)という技術を用いて、より精密、より正確な治療を行っています。
IGRTとは、毎回の放射線治療を行う際に画像(X線写真、CT)を取得し、腫瘍の位置誤差を補正して放射線照射を行う技術です。位置補正には縦横高さの3方向に加え、回転方向3方向の6軸補正を用いています。
※IGRT:Image-guided radiotherapy